書店などで目にする機会も多い『新書』ですが、文庫本や単行本との違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
「新書と言うからには、新しい本じゃないの?」という方も中にはいますが、本当の意味とは大きく異なります。
そこで今回は、新書の意味や特徴、文庫本・単行本との違いについて解説します。
『新書』とは?
本来の意味でいう新書とは、”新書版”という本の大きさを指す言葉です。
この新書版は、173×105mmの大きさに近いサイズで、文庫本と比較すると縦に短くわずかに横幅が広いです。
また、さまざまな分野の専門家によって執筆されており、広範なテーマがカバーされていることも特徴の一つ。
それゆえに、新書を読むことは特定のテーマやトピックについて基本的な理解を深めたり、新たな知識を得るのにおすすめです。
新書の歴史は、1938年に岩波書店が創刊した『岩波新書』が始まりとされています。
1935年、イギリスではそれまで主流だったハードカバーに対して、低価格で手に入るペーパーバック(表紙が紙の本)が発売されて大人気になりました。
それがきっかけとなり、1937年にイギリスで”教養書”や”科学書”が叢書(そうしょ)として販売されるようになりました。
岩波書店はこの大ブームをお手本にし、1938年11月に”岩波新書”を刊行したのです。
手軽な価格で手に入ることから、学生や知識人を中心に人気に火が付いたとされています。
新書を出版している主な出版社とそれぞれの特徴を、以下の通り一覧にまとめました。
出版社 | 特徴 |
---|---|
岩波書店 (岩波新書) | ・最も歴史がある ・文化/学問/社会問題など幅広い分野を網羅 |
光文社 (光文新書) | ・30代のビジネスマンがターゲット ・ユーモアなエッセイや小説、エンターテインメント作品が充実 |
講談社 (講談社現代新書) | ・”新潮文庫”と並ぶ老舗の新書レーベル ・内容が非常に幅広く、バラエティ豊富であることが強み (歴史・哲学などの教養新書をはじめ、ビジネスマン向け、話題性を重視した新書など…) |
中央公論新社 (中公新書) | ・最も歴史系に注力している ・学術的に信頼できる |
新潮社 (新潮新書) | ・2003年に創刊 ・教養的な内容よりも実用的な内容のものが多い ・中高年向けの新書に強い |
集英社 (集英社新書) | ・社会問題や政治の問題を扱った内容が多い ・漫画関連の新書も多く出版 |
幻冬舎 (幻冬舎新書) | ・2006年に創刊 ・教養新書が多く、他社と比較すると宇宙科学に関する新書も多数出版 ・読者の読みやすさを重視している |
新書・文庫本・単行本の違いは?
ここからは、新書・文庫本・単行本の違いについて説明します。
新書と文庫本の大きな違いは、以下の2つです。
- サイズ
- 取り扱っているジャンル
文庫本の魅力は、新書よりもコンパクトなサイズと手頃な価格です。
また、小説やエンターテインメント作品など、ジャンルが幅広いことも文庫本ならでは。
より専門的な知識を求める人向けの新書とは反対に、文庫本は気軽に読書を楽しみたい人向けといえます。
新書と単行本の大きな違いは、以下の2つです。
- サイズ
- 価格
- 製本の方法
そもそも単行本とは、『単独で刊行される本』を指します。
単行本のサイズ感は新書よりも大きく、持ち歩くよりは自宅でゆっくり読書をするのにおすすめです。
また、本のジャンルにもよりますが、一般的に小説などの場合は厚手の固い紙を使用したハードカバーで製本されているケースが多く見られます。
加えて、単行本の価格は1,000円〜2,000円程度と新書よりも高めであることが特徴です。
新書を選ぶメリット・デメリット
ここからは、新書を選ぶメリット・デメリットについて説明します。
メリット
新書を選ぶメリットは、以下の3つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
新書を選ぶメリットの一つは、文庫本や単行本と比べて価格が抑えられていることです。
そのため、気になる本があれば気軽に手に取ることができます。
普段あまり本を読まないという方でも気軽に読書が楽しめるため、読書初心者にもおすすめです。
二つ目のメリットは、持ち運びやすいサイズであることです。
新書のサイズは、バッグやポケットに簡単に収納できるほどコンパクトです。
通勤・通学はもちろんのこと、外出先や旅行先にも持ち歩くことができます。
三つ目のメリットは、特定の分野における専門的な知識をインプットしやすく、手軽に学べることです。
基本的に新書は、専門書や啓発本、実用書などのジャンルが多く取り扱われます。
自分が学びたいテーマや興味のある分野の新書を選ぶことで、有用性のある教材になります。
デメリット
新書を選ぶデメリットは、以下の2つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
一つ目のデメリットとして、内容に少し物足りなさを感じてしまう可能性があることが挙げられます。
前述したように、新書は専門分野について手軽に学べることに加えて、コンパクトなサイズ感が魅力です。
しかし、その手軽さゆえ、より専門的な内容を深堀りするとなると新書だけでは足りないと感じてしまう場合があります。
もちろん本によっては詳しい内容のものもありますが、あくまでも入門書的立ち位置で選ぶとよいかもしれません。
二つ目のデメリットは、カバーデザインを出版社ごとに統一しているところが多いことです。
基本的に新書の製本は、ソフトカバー(カバーを外した際の一番外側の紙)のみです。
そのため、見た目や触り心地で本を選びたいという方には物足りなさを感じてしまう可能性があります。
ですが、最近はおしゃれで気分が上がるようなブックカバーも数多くあります。
そういったアイテムを合わせて新書を持ち歩くのも、新しい楽しみ方かもしれませんね。
まとめ
今回は、『新書』の特徴や文庫本・単行本との違いなどについて解説しました。
新書の魅力は、なんと言っても持ち歩きやすいサイズ感ときちんと要点が理解できる内容であること。
「実用的な知識を身につけたい」「特定の分野を学びたい」という方にとっては、役立つ教材になることでしょう。
気軽に読書を楽しめるため、これまで新書に興味がなかった方も読者初心者の方も、まずは手に取ってみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。